if: パートナーが人を殺めてしまったら?

2026/6/15

タグ: if

『もしも創作子のパートナーが人を殺めてしまったら』というifについてTLで見かけて考えてみたら面白かったので素振り。ifネタなので本編とは関係ありません。


りいが殺していずみが知った場合

投稿時の概略

りいがそんなことをするのはよっぽどのことだと思って先に事情を聞く その上で決断するけど多分いずみは多分法に則った行動をりいに求めると思う その上でずっとりいのことを待ってくれるだろうけど、りいは戻ってこないかもしれないね

階段、踊り場、下の階。首があらぬ方向に向いている。どう考えても生きてはいなかった。りいはただ、それを眺めていた。

「りい……」

そう声をかけると、りいは泣き出しそうな顔をする。大丈夫よ、と言いたくて、抱きしめようとすると、首を振って拒否される。

「いいんだ。大丈夫」
「大丈夫じゃ、」
「大丈夫。大丈夫だよ」
「でも、」
「大丈夫だから!」

りいが強く言うので、それ以上言葉にするのをやめる。りい自身も、混乱しているのだろう。沈黙。りいが口を引き結ぶ。目を閉じる。拳を強く握る。

「どうするの」

りいは動かない。答えない。ただただ待つ。私がいることがりいを追い詰めてはいないだろうか、立ち去ったほうがいいのだろうか、でも今の状態でりいをひとり置いて行くのはあまりにも不安だ。

「大丈夫。いずみには、迷惑かけないから」

りいは、決して、強い人間ではない。心配性だし、不安になりやすいし、ひとりで悩みがちだ。そんなりいを、ひとりにしてはいけない。そう思う。けれど、りいの声音から、態度から、これは、強い、拒絶だ、と感じてしまう。離れて欲しいのだろうと思う。私に迷惑をかけたくないのも本当だと思う。でも、私は、

「りい、」
「だから、先に帰ってて。大丈夫。大丈夫だよ」
「でも、」
「お願い」

ここで目を合わせるなんて、ずるい。そう言われたら、私がりいの言う通りにすると思っている。食い下がるべきだと思う自分と、これ以上関わるべきではないと思う自分がいる。このまま離れたら、りいはそのまま、どこかに行ってしまうんじゃないか、と。

「りい……」
「大丈夫だよ。ちゃんと、いずみのところ、帰ってくるよ。だから、帰ってて」

全部嘘だと思った。全部、嘘だ。帰りたくない。ここに居たい。りいと居たい。なんでもするから、とは言えなかった。りいを置いていくことを私が望んでいないことは、りいも多分わかっている。そして、りいが私を巻き込みたくないと本当に思っていることも、私も、わかっている。どうするのが最善なのか。りいは、どうしたら、本当に、ちゃんと戻ってきてくれるのか。梨位について行けばいい?でも、ずっとついていけるのかはわからない。私を巻き込んだら、今度こそりいは罪悪感に押しつぶされてしまうかもしれない。どうしたら、

「ね、帰ってて」

いつもの笑顔でりいが言った。それ以上、食い下がれなかった。

「ちゃんと帰ってきてね」

そうとしか言えなかった。
どうか、どうか、どうか。


いずみが殺してりいが知った場合

投稿時の概略

いずみは多分混乱した状態だろうから、大丈夫、大丈夫、といずみを抱きしめた上で、いずみがどうしたいかを聞くと思う、 りいは多分、いずみが隠してくれと言われたらやるけど、いずみはたぶんりいが知ってしまった以上は後ろ暗いことはやらないんじゃないかな りいがそれをできると知っていたとしても

壊れた柵。いずみはその前で、座り込み、茫然としていた。柵の外には見るからにおそらくもう生きてはいないだろうと思える亡骸。いずみが顔を覆う。そっといずみの身体を抱きしめる。いずみが肩を震わせる。

「どうしよう」

いつも気丈にふるまういずみからは聞いたことのない声だった。自分と出会う前の、今のいずみになる前のいずみは、こんな子だったのかもしれない。

「どうしたい?」

いずみがそれを望むなら、家の力を使えば隠せる。その確信がある。けれど、いずみがそれを望むとは、思えなかった。だから、いずみが言い出すまで待つ。いずみはわたしを抱きしめ返して、黙り込んだ。

「……ちゃんと、警察に、行ってくるわ」
「うん」
「店のことは、りいに任せてもいいかしら」
「うん」
「いいの?」
「いいよ。ちゃんと待ってる」
「……りいのしたいようにしてくれて、構わないわ」

暗に、別に待ってなくてもいいのよ、潰してもいいのよ、と言われている気がした。けれどそれをわたしに言っても、わたしが聞かないのをいずみは知っている。いずみはぎゅう、と強く私を抱きしめた。しばしの別れを、惜しむように。


真砂が殺して生駒が知った場合

投稿時の概略

真砂を遠ざけた上で、自分がやったことにする、真砂は多分生駒がそうすると言うならば止めないし、生駒がそう言ってくれると思っている

真砂の目の前は血の海になっていた。真砂の右手には花瓶。目の前のは……何度か見たことがある。真砂に付きまとっていた奴だ。真砂は無感情な目で遺体を眺めている。そしておれを見る。

「どうしようか、これ」

しばらく思案する。ここには3人だけだ。亡骸と、真砂と、自分。ここから亡骸を隠すのは困難。そうなったら。

「おれがやったことにしよう」
「なんで?」
「真砂の代わりはいない。おれの仕事は別の奴でもできる」
「そんなことないよ」
「ある」

歌って、踊って、人々に希望を与える。それを真砂の代わりに演じられる者はいない。演奏も曲を作るのも、誰だっていい。真砂が歌い、踊り続けてくれさえすれば、その役は誰でもいいのだ。おれでなくても。

「生駒がいないと困るよ」
「曲が作れる奴はいくらでもいる。でも、真砂の代わりは、いないんだ」

そう力説すると、真砂は困ったなあという顔をする。そんな真砂から花瓶を奪い取る。真砂がおれを見上げている。そして溜息をついた。

「うーん。じゃあ、そうしようか」

あっさりと。そう、これで、いいんだ。真砂永幸という存在は、これでいい。


生駒が殺して真砂が知った場合

投稿時の概略

見損なったという顔をして、どうするの、と問う 手伝う気はない、彼のことは大事に思っているけれど、自分とは違う個である以上、彼自身で始末をつけるのが彼を尊重することだと思っているから

生駒の前には死体が転がっていた。どう見ても生駒がやったようにしか見えない。生駒に目をやる。目が合うと、生駒の顔は戸惑いを隠さなかった。そんなことをするとはねえ。そう思いながら、生駒に聞く。

「どうするの、それ」

生駒は再び死体に目をやる。沈黙。この男は考える時に黙るが、少し首を左右に揺らす癖がある。ゆれる首と髪を眺めながら、待つ。どうせこういうのは本人が決めるしかないのだ。本人の長考を黙って待つ。まあ、でも、待ってみてはいるが、生駒の出す答えはわかっている。この男は悪いことのできない常識人だ。

「電話、かけてくる」

ふらり、と生駒は外に出て行った。あんな常識的な一般市民のテンプレートのような男を怒らせるとはどのような人物かと思って死体を見下ろす。見たことある顔だと思ってしばらく悩んで、思い出す。俺のストーカーだ。そうか、そういうことだったのか。

何も聞かずに彼を見送ってしまったことを、少し悔やんだ。


あとがき

TLで流れてきた一次創作ネタに反応して定期的に一次創作素振りしようかなと呟いたら『素振り小屋作ろうよォ~~』という名案が流れてきたので出来ました素振り小屋。

りいといずみのねっちりしたお互いに『あなたがこうしてほしいのはわかっているんだけど、でも私はそうしたくない』という関係から生駒と真砂の生駒の愛が劇的に重くて真砂があっさりしてるという関係性の温度差で風邪ひきそうですね!!実際本編では現代の延長線の世界観なので人を殺したり殺されたりみたいなことはありませんので、これは完全なるifストーリーです。

今年のどこかでは本編を書き始めたい予定。ではねノシ